Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Read 春泥・三の酉 (しゅんでい) by 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 86,075 characters · 173 screens
三
――附合ってるのか、いまでも、その人と?
――あたし、この人の疎開してたところへ、この人をたよって疎開したのよ。……遠くにいるもんで、逢うのはタマだけれど、手紙のやりとりは、始終、してるわ。
――どこにいるんだ、いまは?
――鎌倉。
――何をしてるんだ?
――結婚して、ちゃんとやってんのよ。……あなた、知らない、柴、白雨ッて絵を描く人? ……
――柴、白雨? ……知ってるよ、名前は。……むかしは、岸田劉生なんかの仲間の洋画家だったが、いまは日本画ばかり描いている……
――その人の奥さんなのよ、年ちゃん、いま……
三
……逢うのはタマだけれど、といった口の下で、すぐにこういうのはおかしいが、といいわけしい/\、おさわは、そのあとで、じつは、四五日まえ、鎌倉に年ちゃんを訪ね、引きとめられるまゝ、一ト晩、泊ってさえ来たというはなしをした。……いかにその年ちゃん夫婦の仲がいゝかということを、そして、その家庭の空気の、いかに、しずかに、和やかに落ちついているかということを、事細かに、いち/\例をあげて褒め上げた。……そのなかで、とくにぼくの心に止ったことは、夕方、年ちゃんと、年ちゃんの旦那の白雨さんと三人で、食事の仕度のできる間、海のみえるところまで、ぶら/\、あるきにでたことについてだった。