Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ほんしゅうおうだん かんしゃくとほりょこう

本州横断 癇癪徒歩旅行

押川 春浪

Read 本州横断 癇癪徒歩旅行 (ほんしゅうおうだん かんしゃくとほりょこう) by 押川 春浪 (おしかわしゅんろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 22,749 characters · 45 screens

Aozora Bunko

橋が無ければ徒歩じゃ徒歩じゃと、一同ジャブジャブ水を漕いで渡るに、深さは腰にも及ばぬ程であるが、水流は石をも転ばす勢なので、下手をすれば足掬われて転びそうになる。ドッコイ、ドッコイ、ドッコイショと、爺様のような懸声をしながら漸く河を渡り、やがて町付という寒村に来掛かれば、もう時刻は正午に近い。

「アア腹が減った。腹が減った」という声が頻りに起る。この昼飯分は剛力に担がせて持って来たのだが、この前途山中に迷わぬものでもないから、なるべく食物を残しておけと、折りから通り掛かった路傍に、「旅人宿」と怪し気な行灯のブラ下がった家があるので、吾輩は早速跳り込み、

「オイ、飯を食わせろ」と叫ぶと、安達ヶ原の鬼婆然たる婆さん、皺首を伸ばして、

「飯はねえよ」

「無ければ炊いてくれ」

「暇が掛かるだよ」

「三十分や一時間なら待とうが。何か菜があるか」

「菜は格別ねえだよ。缶詰でも出すべえか」

「缶詰ならこっちにもある。そんな物は食いたくない。芋でも大根でも煮てくれないか」

「芋も大根もねえだよ」

嘘ばかりいっている。現に裏の畑には芋も大根もあるのに、それを掘るのが面倒なのか、高い缶詰を売付けようとするのか、不親切も甚しいので、未醒子大いに腹を立て、