Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Read 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 209,260 characters · 418 screens
為ばかりでなく、職人たちはみな青すじを立てている。このごう腹が癒えないうちは、仕事になんぞかかれるか――といわんばかりな顔いろである。
「仕事を休む。そいつはいかん。……まあ、怺えて、仕事にかかってくれ」
「どうしてですえ」
「つまらんではないか。泥棒に追い銭のようなものだ」
「できませんよ、このむらむらする虫を抑えて、仕事をしろなんていっても」
「仕事をしているうちに、自然と仕事にむらむらも忘れてしまう。さあかかろう」
「いやだ。やるやつはやれ。三度のお飯をいただいている仕事道具をこんなにされ、親方が精進潔斎して彫った碑銘まで、あんなに土足で踏みにじられているのに……べら棒め、だまっていられるかってんだ。おれひとりでも、野郎をとっ捕まえに行くぜ。みんなは仕事していねえ」
為はきかない。
むっと、燃やした顔と、ことばの勢いで、すぐにも何処かへ行きそうにした。介三郎はゆうべの次第をきいているので、かれの強がりを先にたしなめた。
「為。――意気はいいが、また浪人者に追いまわされて、悲鳴をあげては何もなるまい。それに、ここらの形跡を見ると、ひとりでやった狼藉ではない。