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ほうそうやわ
法窓夜話
穂積 陳重
Read 法窓夜話 (ほうそうやわ) by 穂積 陳重 (ほづみのぶしげ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 136,325 characters · 264 screens
三九 板倉の茶臼、大岡の鑷
かくてこの事件も無事に治ったが、さて治らぬのは輿論の沸騰である。決闘裁判の如き蛮習を絶つには、須らく復讐を根本思想とせる「殺人私訴」を廃すべきであるとの議論が盛んに主張せられ、一八一九年の議会において、二対六十四の大多数をもって、「殺人私訴法」(Appeal of Murder Act)を議決した。これによって殺人その他重罪の私訴は廃せられ、その結果、決闘裁判の請求もソーントンをもって最後とすることとなった。
三九 板倉の茶臼、大岡の鑷
板倉周防守重宗は、徳川幕府創業の名臣で、父勝重の推挙により、その後ちを承けて京都所司代となり、父は子を知り子は父を辱しめざるの令名を博した人である。
重宗或時近臣の者に「予の捌きようについて世上の取沙汰は如何である」と尋ねたところが、その人ありのままに「威光に圧されて言葉を悉しにくいと申します」と答えた。重宗これを聴いて、われ過てりと言ったが、その後ちの法廷はその面目を一新した。
白洲に臨める縁先の障子は締切られて、障子の内に所司代の席を設け、座右には茶臼が据えてある。重宗は先ず西方を拝して後ちその座に着き、茶を碾きながら障子越に訟を聴くのであった。