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ほうそうやわ
法窓夜話
穂積 陳重
Read 法窓夜話 (ほうそうやわ) by 穂積 陳重 (ほづみのぶしげ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 136,325 characters · 264 screens
四一 オストラキズムス
その成行を見ておった一事件のみは、そのままにして引継いでしまった。そこで口善悪なき京童は、「周防殿すら持て余したこの訴訟、佐渡殿などには歯も立つまい」と口々にいい囃したが、さて佐渡守が職に就いて、その裁決を下したのを見れば、調査は明細、判断は公平、関係人諸役人を始めとして、不安の眼で眺めておった満都の士民を、あっといわせたので、周防殿にも勝る佐渡殿よとの取沙汰俄に高く、新所司代の威望信任はたちどころに千鈞の重きを致したという。
そもそもこの疑獄については、重宗は夙くより最もその意を注いで、調査に調査を加え、既に判決を下すばかりになっていたものであるが、辞職の際の事務整理に、故らにこれのみを取残し、詳細なる意見書を添えて佐渡守に引継ぎ、佐渡守はただ板倉の意見をそっくりそのまま自分の名で発表したのに過ぎないのであった。掉尾の大功を惜しげもなく割愛して、後進に花を持たせた先輩の襟懐、己を空しうして官庁の威信を添えた国士の態度、床しくもまた慕わしき限りではないか。
四一 オストラキズムス
いやしくもギリシア史を読んだものは、アテネの名士テミストクレス(Themistocles)がオストラキズムス(Ostracismus)を行って、政敵アリスティデス(Aristeides)を追放し、心のままに自家の経綸を施して、大敵