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むじんとうにいきるじゅうろくにん
無人島に生きる十六人
須川 邦彦
Read 無人島に生きる十六人 (むじんとうにいきるじゅうろくにん) by 須川 邦彦 (すがわくにひこ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 100,616 characters · 201 screens
口ぶえでよぶと、野の小鳥が、かれの肩にとまったというのだ。かれが漁夫見習となって、漁船に乗って、カムチャッカに行ったとき、アザラシの子をつかまえて、よくならしたことがあった。この島でも、アジサシのひなが、かれにはよくなついた。
半島に、二、三十頭、いつでもごろごろしているアザラシを目の前に見て、動物ずきのかれは、じっとしていられなかった。船長の命令は、やぶることができない。しかし、いく日も、がまんにがまんしたあげく、かれは三日月の夜、つった魚をおみやげに持って、一人こっそり、天幕をぬけ出して、アザラシに近よって行った。まだ人間を知らない、毛皮の着物をきた動物は、はだかの人間と、すぐになかよしになった。
それからは、夜中や、朝早く、少しの時間、かれとアザラシはいっしょにいた。かれが、この海の友だちの、のどやおなかをなでてやると、アザラシはあまえて、はなをならして、気もちよさそうに眠るくらいになった。
ところが、帰化人の範多も、前にラッコ船に乗っていたとき、アザラシの子を飼ったことがあって、かれも、こっそり、アザラシと親友になっていた。
ある晩、アザラシ半島で、思いがけなくも、国後と範多とは、ばったり出あった。