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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

Read 無人島に生きる十六人 (むじんとうにいきるじゅうろくにん) by 須川 邦彦 (すがわくにひこ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.

N3 · intermediate · modern kanji and kana · 100,616 characters · 201 screens

Aozora Bunko

「びっくりしたよ。なんだ、国後か」

「わしもおどろいたよ。範多か」

こうして、アザラシならしの名人二人は、アザラシと友だちになった喜びを、ひみつにしておけなかった。二人は、人間の友だちを、一人つれ、二人つれて行っては、アザラシに紹介した。このことを運転士が知ったときは、水夫や漁夫たちは、たいていアザラシの友だちであった。

「アザラシに近よるな」

これは、船長の命令である。結果はよかったにしても、アザラシに近づいたのは、たしかに、命令にそむいたのだ。

「規律をまもれ」

これは、島の精神だ。

「アザラシとなかよしになったことが、とうとう、運転士さんに知れたらしい」

「どうしよう――こまったなあ……」

アザラシの親友の、国後と範多は、ひたいをよせて、ささやきあった。

「あやまろう。それよりはかにしかたがない――」

アザラシならしの代表国後は、おそるおそる運転士の前にでた。かれは、かしこまって、うつむいて、ぼそぼそとつかえながらいった。

「船長の命令にそむいて、アザラシのところへ、いちばんはじめに行ったのは、私です。すまないことをしました――ごめんなさい」

運転士は、国後が、すっかりしおれているすがたに、まっ正直な心が、あふれているのを見た。