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しろばなのあさがお
白花の朝顔
泉 鏡花
Read 白花の朝顔 (しろばなのあさがお) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 30,880 characters · 62 screens
……つきましては、いずれ楽屋へもお供をいたしますが、そのおつれ様……その、京人形様。――は、は、は――の処は、何にもおっしゃらず、ご内分に。――いえ、あなた様のおつれでございますから、仔細はないのでございますがな、この役者なかまと申しますものは、何かとそのつきあいがまた……煩いのでして、……京から芸妓はんが路之助を追駈けて逢いに来たわ、それ蕎麦だ……などと申すわけで、そうでもないのに、何かと物騒、は、は、は。」
両三度、津山の笑いは、ここで笑うのにあらかじめ用意をしたらしいほど、式のごとく、例の口許をおさえて、黙然を暗示しながら、目でおどけた。
「……は、は、は、と申すわけで。お含みを。――ああ、八さん、お茶を入れかえて……そう、宜しい。何、ぼくにか、はて、忙しい。は、は、は。いやいずれ今ほど。――お場所が出来ましたそうでございますから。」
膝で辷って、津山が立つのと入交って、男衆が階子段の口でお辞儀をして、
「では、ご見物を。」
「心得た。」
見ますとね、下の店前に、八角の大火鉢を、ぐるりと人間の巌のごとく取巻いて、大髻の相撲連中九人ばかり、峰を聳て、谷を展いて、湯呑で煽り、片口、丼、谷川の流れるように飲んでいる。