Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しろばなのあさがお
白花の朝顔
泉 鏡花
Read 白花の朝顔 (しろばなのあさがお) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 30,880 characters · 62 screens
「画工でないのが口惜いな。」
「……何ですか蘭竹なんぞ。あなたの目は徹りました、女の乳というものだけでも、これから、きっと立派な文章にかけるんです。」
――以来、乳とかく時は一字だけも胡粉がいい――
と咄嗟に思って、手首に重く、脈にこたえて、筆で染めると、解けた胡粉は、ほんのりと、笠よりも掌に響き、雪を円く、暖かく、肌理滑らかに装上る。色の白さが夜の陽炎。
「ああ、ああ、刺青ッて、こんなでしょうか。」
居ずまいの乱るる膚に、紅の点滴は、血でない、蛍の首でした。が、筆は我ながら刀より鋭く、双の乳房を、驚破切落したように、立てていた片膝なり、思わず、と尻もちを支いた。
お洲美さんは、うっとり目を開き、膝を辷って、蹴出しを隠した菅笠に、両の白いものを視て、擽ったそうに、そッと撫でて、
「……熱いわ――この乳も酔っている……」
と、いって寂しく微笑んだ。
「人目があります。これでは巡礼して、肌を曝しては、あるかれませんね。ぽっちり薄紅を引きましょうか、……まあ、それだと、乳首に見えようも知れません。」
浅葱の絵の具を取って、線を入れた。白雪の乳房に青い静脈は畝らないで、うすく輪取って、双の大輪の朝顔が、面影を、ぱっと咲いた。