Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Read 私本太平記(七) (しほんたいへいき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 330,262 characters · 662 screens
……するうちに、いつか彼は、長途千里の疲れやらここに着いた安心も出て、眠るともなく過去層の幻影の中にふと居眠っていた……
――あれは春の三月で、
花を見ばや
の北山行幸だった。
中宮を初め、女院の鏡子や瑛子の君なども御一しょであった。みかどは寝殿の階ノ間にお茵をおかれ、階の東に、二条ノ道平、堀河ノ大納言、春宮ノ大夫公宗、侍従ノ中納言公明、御子左ノ為定などたくさんな衣冠が居ながれていた。
御遊は終日におよび。
やがて、楽所の御興には、右大臣兼季の琵琶、権ノ大夫冬信の笛、源中納言具行の笙、治部ノ卿のひちりき、琴は宰相ノ公春など秘曲をこらした。
なお、それにもまさる聞き物は、女蔵人ノ高砂、播磨の内侍たち、あまたな女人の合奏だった。そのころ中務の宮も、おん直衣に太刀姿で見えられ、御随身どもと一つに、舞謡の手拍子などに興じ入られたと、この日のさまは「増鏡」の“むら時雨の巻”にも眼のあたり目に見るように描かれている――
暮れかかるほどに
花の木間、夕日花やかに移ろひて、陵王(扮装せる当年十四歳の顕家)のかがやき出でたるは、えもいはず、おもしろし。
そのほど
うへ(後醍醐)にも、御引直衣にて、椅子につかせ給ひて、御笛を吹かせ給ふ。