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やそうざっき・やちょうざっき
野草雑記・野鳥雑記
柳田 国男
Read 野草雑記・野鳥雑記 (やそうざっき・やちょうざっき) by 柳田 国男 (やなぎたくにお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,016 characters · 284 screens
三
庭は全く人の踏む足の数がどこの土よりも多い。それを彼等の開拓者が嫌うので、根や養いだけの問題ではなかったのである。芒なども性癖がこれとやや似ている。隣の空地ではある季節にはこれただ一色に蔽われて、色々の虫の声を宿し、小路を隔てて一斉に袖を振る様子は、招くと言おうよりもむしろデモンストレエションに近く、風が吹けば盛んに穂綿を流して来るのだが、私の庭へは僅かな片陰以外、めったに下りて土着しようとはしない。一時は熱心に闘って抜き棄てたものを、この頃は一株移植して見ようかと思うほどになった。これとは反対に根笹は草に隠れて、地続きの一方の空地には覗いても眼につかぬのに、いつになってもその根が走って来ることを止めない。逕にも出れば芝生の中にも出る。垣根の下はもとより、中には五六間も飛離れて糸のような筍を抽きんでようとする。これだけは鋏を以て切ってしまわずにはいられぬのであるが、考えて見ると竹は人に最も親しむ植物の一つで、鳥であったらどの位喜ばれたか知れない。
三
それからタケニグサもこの土地へ来てから、始めて気心のよくわかった野草である。郊外はどこの新建てでも、一度はこの草に劫かされて、いかにも文化住宅の浅はかさを、思い知らされずにはすまぬような時期があるように見えるが、少し程過ぎると、これも薄よりはなお素直に退散し