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やそうざっき・やちょうざっき
野草雑記・野鳥雑記
柳田 国男
Read 野草雑記・野鳥雑記 (やそうざっき・やちょうざっき) by 柳田 国男 (やなぎたくにお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,016 characters · 284 screens
近頃私の聞いた青森県八戸附近の口碑に、山鳩の啼く声はテデコーケー、即ち「父よ粉を食え」と啼くのだという話がある。昔々ひどい凶作の年に、父は山畑に鋤踏みに出ており、母は家にいて炒麦の粉を搗いた。それを子供に持たせて遣った所が、途中の小川を渡ろうとしてその粉をこぼし、それを川の雑魚が浮いて来て食った。子供は面白いので今度はわざと少しこぼすと、雑魚がもやもやと浮いて来て食ってしまう。またこぼすとまた来て食う。そんなことをするうちに時が経って、哀れ父は餓えて山畠で死んでしまった。少年はこれを悔い悲しんで、たちまち山鳩になったというので、今でもその季節が来るとこういって啼くと伝えられている(『奥南新報』)。
テデコーケー、(父よ粉を食え)
アッパーツーター(母が搗いた)
この一つの例だけを見ると、誰しも話はあの山鳩の鳴く声によって、思い付かれたものと考えるのであるが、実際はそうでなかったのである。全然同じ話というわけではないが、これとほぼ似通うた話は、郭公についても語られている。たとえば甲州の精進湖に近い山村では、カッコウ鳥はもと悪い継母であった。どうかして継子を苦しめようと思って、ある日山畠へ麦刈に行っている処へ、子供が弁当を持って来ると、上へ登れば下の方に行き、降りて来ればまた上の方へ行っていて、早く持って来ぬ