Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
たかしまいし
高島異誌
国枝 史郎
Read 高島異誌 (たかしまいし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 13,007 characters · 26 screens
山なす財物
純八は老僕に手伝わせ、急いで褥を設けると、老僧を中へ舁き入れたが、是ぞ本条純八をして、数奇の運命へ陥らしむる、最初の恐ろしい緒なのであった。
山なす財物
純八は老僕の八蔵を、医師千斎の許へ走らせた。
間も無く遣って来た千斎は、静かに老僧の脈を数え、暫くじっと考えていたが、
「鳥渡お耳を」
と囁いて、隣室まで純八を誘った。
「何んと本条殿、あのご老僧は、貴殿のご縁辺ででもござるかな?」――声を窃めて先ず訊いた。
「いや縁者でも知己でもござらぬ。しかも今日邂逅ったばかりの、赤の他人でござりまするがな……」――純八は幽に眉をひそめ「何か老僧のご病気に就き不審の点でもござりまするかな?」
「左様、些不審ではござるが、夫れは又夫れとして何れ千斎、研究致す事として、兎に角至急あの御僧を門外へお移しなさりませ」
「それは又何故でござるかな?」
「いやいや何故も兎角も不用、一刻も早く追い出しめされ」
「それは不仁と申すもの、理由の説明無いからには、左様な不親切は出来ませぬ」
純八は首を振るのであった。すると千斎は気の毒そうに、
「御身の上に恐ろしい災難が振りかかっても宜しゅうござるか?」