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ぜにがたへいじとりものひかえ
鬼の面 ――銭形平次傑作選3
野村 胡堂
Read 鬼の面 ――銭形平次傑作選3 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 28,312 characters · 57 screens
二
「和蘭の銭だということですよ、長崎屋七郎兵衛の商売仲間――と言うと抜け荷の仲間ですが、仲間の印にそれを一枚ずつ持っていたんだそうで、現に七郎兵衛も弟の金之助も番頭の友三郎も、用心棒の浪人者も一枚ずつ持っていて、出して比べて見せましたが、寸分違わずこの通りです」
「フーム、大分曰くがありそうだな」
「その和蘭の銭は親分が預かって下さい、あっしが持っていても仕様がありませんから、そいつが日本の小粒だと、右から左へ役に立つんですがね」
「そうしようか、いずれ行って見るとして」
平次はそう言って、和蘭の銀貨を懐ろの中にしまい込みました。
二
その翌日は、八五郎に誘われて、神楽坂へ出かけようとしている平次のところへ、岩戸町の下っ引が、思いも寄らぬ凶報を持って飛んで来ました。
「親分、すぐお出でを願います、神楽坂裏の長崎屋七郎兵衛の家に殺しがありました」
「主人がやられたのか」
八五郎の方が乗出すと、
「七郎兵衛の家――と断っているんだ、主人じゃあるめえ、誰だ」
「内儀のお町さんで、不思議な殺しです」
「よし、行って見よう、ちょうど神楽坂へ出かけるところだったんだ」
平次と八五郎と、使いの下っ引は一団になって神楽坂へ――、