Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
鬼の面 ――銭形平次傑作選3
野村 胡堂
Read 鬼の面 ――銭形平次傑作選3 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 28,312 characters · 57 screens
実はね。八五郎親分」
「へエ、へエ」
「この私は、命を狙われているような気がしてならないのです」
「命を、ね。誰がまた、そんなものを?」
八五郎も少し真剣になりました。命を狙うというのは、容易ならぬことです。
「それがわかれば、手軽に防ぎもつきますが、まったく見当がつかないのに、間違いもなく私の命が狙われて居るんだから、こいつは手のつけようがありません。銭形の親分のような方でも相談相手になって下さらなきゃ――」
明かに、八五郎は甘く見られたわけですが、本人はそんな気にもならないほど、もうお酒が廻っておりました。
「すると、旦那のような良い人を怨んでいる者もあるわけで?――」
「怨んでいる者ばかりが、命を狙うとは限りません。私を羨やむ者、私が生きていると邪魔になるもの、世の中には、いろいろの敵があると思わなきゃなりません」
「たとえば?」
「駒形の私の店の隣は、丹波屋の浅吉さん、地境のことから公事(訴訟)になって、私と私の弟の伯次をうんと怨んでおります。義理の弟の伯次は、公事師見たいなことが大好きで」
「それじゃ、相手はわかっているじゃありませんか」
「いや、なかなか以って、丹波屋さんは頑固で始末は悪いが、人間は立派な人で、間違ったことなどをする人ではありません」