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あゆのくいかた
魯山人の食卓
北大路 魯山人
Read 魯山人の食卓 (あゆのくいかた) by 北大路 魯山人 (きたおおじろさんじん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 54,022 characters · 115 screens
こぶの出汁を取りますのは、こぶを水でぬらしただけで、五分間か三分間、間をおき、こぶの表面がほとびれた感じのする時、水道の水で、ジャーッとさせないで、音もせず身動きもしないで、トロッと出る水をこぶに受けながら、指先で器用にいたわって、だましだまし、こぶの表面の砂、ゴミみたいなものを落とすのです。そのこぶを熱湯の中へサッと通す。それでいいのであります。これでは、出汁が出たかどうかと訝かられるかも知れませんが、これで充分、出汁ができているので、出たか出ないかは、ちょっと汁をなめてみるのです。これで、実に気の利いた出汁ができています。量はどれくらい要るかは、実習いたしますと、すぐお判りになります。この出汁は、たいの潮などのときは、ぜひともこれでなくてはなりません。こぶを湯からサッと通したきりで上げてしまうのは、なにか惜しいように考えて、長くいつまでも煮るのは、こぶの底の甘い味が出て、決して気の利いた出汁はできません。京都辺では引き出しこぶといって、なべの一方からこぶを湯に入れて、底をくぐらして、一方から引き上げる、こうしたやり方をしていますが、これでありますと、どんなやかましい食通でも満足し、文句がないということをいっています。