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あゆのくいかた
魯山人の食卓
北大路 魯山人
Read 魯山人の食卓 (あゆのくいかた) by 北大路 魯山人 (きたおおじろさんじん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 54,022 characters · 115 screens
すしは酒の肴としてずいぶん用いられているが、どうもまぐろは酒の肴として好適ではない。これは飯のものである。だから、握りずしで食うのが第一、熱飯の上に載せて食うのが第二である。まぐろの茶漬けなぞも通人のよろこぶものである。(まぐろの茶漬けというものは、炊きたての御飯の上に、まぐろを二切れ三切れ、おろし少々載せて、醤油をかけ、その上から煎茶の濃い熱いのを注いで食うのである)事実、東京において消耗されるまぐろの七分通りは、すしの原料とされているようである。
元来、東京の自慢であるたべものは、概して酒には適さない。すし、てんぷら、そば、うなぎ、おでん、いずれも酒の肴としては落第だ。おでんで飲む向きもあるが、これは他に適当な酒肴がない場合だ。まぐろの消費量の七分はすしに使うといったが、もちろんそれは夏過ぎて涼風が立ち、だんだん冬に向かうようになってからのことであって、夏のしびまぐろは、たいてい切り身となって魚屋の店頭を賑わすのである。魚河岸における一日約一千尾の大まぐろは、大部分が焼き魚、煮魚として夏場のそうざいとなるのである。もっとも冬場でも、まぐろの腹部の肉、俗に砂摺りというところが脂身であるゆえに、木目のような皮の部分が噛み切れない筋となるから、この部分は細切りして、「ねぎま」