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めいせつじじょでん

鳴雪自叙伝

内藤 鳴雪

Read 鳴雪自叙伝 (めいせつじじょでん) by 内藤 鳴雪 (ないとうめいせつ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 192,693 characters · 377 screens

Aozora Bunko

冬の部

桟橋に舟虫散るよ小提灯

蜩や千賀の潮竈潮さして

宵闇や鹿に行き逢ふ奈良の町

初雁や襟かき合す五衣

眼白籠抱いて裏山歩きけり

大寺の屋根に落ちたる一葉かな

したゝかに雨だれ落つる芭蕉哉

芭蕉破れて雨風多き夜となりぬ

灯ともせば只白菊の白かりし

萱原にねぢけて咲ける桔梗かな

いさかひは木槿の垣の裏表

夜をこめて柿のそら価や本門寺

冬の部

凩の吹きあるゝ中の午砲かな

折りくべて霜湧き出づる生木かな

初霜をいたゞきつれて黒木売

もてあます女力や雪まろげ

大雪の谷間に低き小村かな

月寒し袈裟打ち被る山法師

古塚や冬田の中の一つ松

萩窪や野は枯れ果てゝ牛の声

初冬の襟にさし込む旭かな

小春日の山を見て掃く二階かな

湖を抱いて近江の小春かな

釜に湧く風邪の施薬や小春寺

冬の夜や小犬啼きよる窓明り

僧定に入るや豆腐の氷る時

耳うとき嫗が雑仕や冬ごもり

書を積みし机二つや冬ごもり

門前の籾を踏まるゝ十夜かな

横はる五尺の榾やちよろ/\火

古蒲団縄にからげていた/\し

繕ひて幾夜の冬や紙衾

炭焼の顔洗ひ居る流れかな

風呂吹の一切づゝも一句かな

顔見世や病に痩せて菊之丞

寒声は女なりけり戻り橋

有明や鴛鴦の浮寝のあからさま

鮟鱇の口から下がる臓腑かな