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めいせつじじょでん
鳴雪自叙伝
内藤 鳴雪
Read 鳴雪自叙伝 (めいせつじじょでん) by 内藤 鳴雪 (ないとうめいせつ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 192,693 characters · 377 screens
六
そのうち普通の川になってる所へ進んだ。そうして伏見に着いた。見送りの人に杯をあげて別れを告げ、また三十石の客になった。今度は昼船なので、まさか女の小便は出来ぬので、枚方で船を着けて用をすまし、日暮に大阪に着いて、屋敷に上り、一両日逗留した。かつて松の枝を投げて怪我をさせた安西の子供へ、京都土産の玩具をやった。それから帰りの海路は追手がよく四、五日で三津に着した。
この後維新まで私どもは藩地生活をしたのである。
六
いよいよ藩地の松山へ帰ったが、今回は一昨年江戸から帰った時と違い、父も上首尾で、お目付という権勢のある役となっていたのであるから、借家などはせないで、既に一の邸を賜わり、それを親類の者が掃除などして待受けていた。そこへ帰着した日より住まったのである。それは松山城の北で、傘屋町という所にあった。私も今度は自分の邸というものに初めて住んだのであるから、何だか嬉しい心持がした。一体、城下で士族の邸というと、江戸に住んでいた折のお小屋などに比べれば頗る広い、まず十四畳敷も二間あり、それに準じて居間部屋台所等もカナリ広い。その他門長屋には家来なども住ませる事になっていた。