Japanische Klassiker mit Furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme
それは、前のに比べると、数十倍の大きな枝で、幾条にも分れ、葉はやはりほとんど無く、かわりに、さるおがせが、ふさふさと垂れなびいている。親木は中途から折れているが、新らしい幹をのばしかけた大木だった。今度は枝が大きいだけに、その変化も著明で、いよいよ不思議な思いをつのらせた。前から何か天候――ことに湿度に関係がありそうだと思い、せいぜい注意はしていたのだが、やはり今度も、そうハッキリした関係などはつかめずに終った。
そして三度目が来た。終戦前年の夏の針木峠である。今度は偃松で、前の白檜がやや距離をおいての場合と異なり、すぐ眼前の出来事だった。蓮華の尾根に、巨岩を負って、大蛇のように蟠まった老樹で、古い枝は葉も短くまばらに、老蒼の趣きが深く、若く勢いのいい枝の間にも、数多の枯枝をまじえている。この枯枝は、冬の間に氷雪の上に露出したため、出来たのが多いであろう。私はこの老樹と、数日にわたり取り組んだのであったが、そのため、また思わぬ獲ものに恵まれたわけなのだ。
第一日は好天気で、その枯枝は皆、指を曲げたように下を向いて屈んでいた。第二日は、前日にまさる快晴で、枯枝どもはさらに一そう屈んだようだ。