Japanische Klassiker mit Furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme
六 好日
時おり車でも軋るような、乾いた響きが断続するのは、ガレの落石であろう。時にはどこか丁々の音もこだまする。これは山男が焚木をコナしているのにちがいない。
午後になって風はようやく凪いだ。しかし終日一片の雲も出なかった。赤石は恐ろしく近く見えた。冷厳な線と面とが、風を截って交錯する。夜は寒さがひどかった。電柱のようなのを何本も引寄せて、こぐちから燃やすなんぞ、なんたるぜいたくだろう。しかも枯木は思いの外にでが無い。小さくて持ちのいいのは、栂の瘤々の角だ。枝が幹に深く刺さり込んでいた部分で、さすがにその強さが頷かれる。灰がほうほうと乱れ飛んで、なにもかもそれに埋まる。
六 好日
四時すぎに起きると、まだ皎々たる月光の世界だ。急には明けそうな気色もない。火にかじりついて、時々祈るように小窓から赤石をうかがう。そのうち、今朝もさやかに雪が映えて、ことに風も無い好日となる。陽を含んだ山が、顔をほ照らす。残月が赤石沢の奥に徘徊する。
赤石沢の奥に徘徊する残月の挿図
一所懸命、画架に向っていると、ふと呟くような声とさやめきが起る。四十雀が一羽、恐れ気もなく傍までやってきて、丸々と肥った胸を張り、首をかしげては、又せわしなく、その辺を飛び廻っている。