Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme

Aozora Bunko

七 日もどり

一緒にいい日和りを祝わうよ……頭をなでたい気持ちだ。時にはギァーと、ガッチ(かけす)も声をかけてくる。

しかし午頃から、刷いたような巻雲が、中天を南から北へ去来し、赤石は大井川の吐く横雲を帯び、空色ようやく冴えを失って、赤石沢の奥から雲の大塊が山の半面に掩いかかった時には、いよいよ天気も崩れるのではないか、と胸を騒がせたけれど、雲はそのまま蔓こりもせず、かえっていつの間にか痕もなく溶け去って、又おだやかな夕暮が迎えられた。

夜の空は清く晴れ、月の出が遅くなったので、星の光りが飛び出すように強い。大きな織女は見上げる前山の梢の中から、刺すように冷たい青光を放ち、千挺木の尾の上高くカシオペアが屈曲し、カペラらしい大星は徐々に山の端から生まれて、光を弾き出すように震えながら昇ってくる。そして峠の上には、昴の小星群が螢籠を吊したように、脉を打ってきらめいている。

夜半ふと眼をさますと、屋根板のやぶれから月光が、堅い金属の棒や板のさまに射しこんでいた。

七 日もどり

未明に起き出ると、今日もまた月光がみなぎっている。そして仰いでハッとした。三分ほど欠けた、たしか十九日の月が、まるで大きな眼のようなのだ。