Japanische Klassiker mit Furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme
それにきれいな花なぞは、毎日のように、むしっては捨てられているらしく、一族の小勢な種類では、そのため後つぎが絶えたり、絶えかけたりしている、気の毒な例もあるという。俺たちが代々、親類づき合いしている雷鳥さんなど、あの通りおっとりした鳥がらのせいか、とかく悪鳥や人間の毒手にかかって、昔から見ると十分の一にもたらぬほどに、減ってしまった痛ましさ。それも鷲より何より、人間がいちばん怖いと言って、この頃では、せっかくかきいれの霧が巻いても、人臭い所へは、いっさい近寄らないことに申し合わせている、という窮状なのだ。
そこへ行くと、ここら辺は、登山路から離れてもいれば、又この通り巨岩の一面に折り重なった急傾斜という、いたって足場の悪い所だけあって、めったに人間は寄りつかない。それでもたまには、山小屋から焚物集めに廻ってきて、無遠慮に俺たちの枯れた手足を、おっぺしおってゆく。幸い、生きている方は、焚くとけむくて困るとかで、あまり手を出したがらないから、いいようなものの……手荒らなのにかかると、大切な根っ子までゆすぶり立てられて、息が止まりそうになるし、少し根元の弱い者や、でなくとも物のはずみで、つい引き抜かれてしまうのさえ珍らしくはないのだ。