Japanische Klassiker mit Furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme
私の画業は当然進まず、似もつかぬ画中の山から眼を背むけて、筆を投ぜんとしたのも幾たびか。だが、また気を取り直し、明日を期しては、悩む頭を旅枕に。小寒のうち、余り雪を見なかった、ここも、大寒から寒明けにかけては、さすがに白いものが、しきりと舞い落ちた。軽がると冬木にけぶり、さるおがせをなぶって降る、雪のしずかさ。
ささめ雪さるのおがせも花や咲く
森の深みは、紫をこめて暗い。屋内は、昼も石油燈が欲しいくらい。時おり、積雪のずれ落ちる音。どこかでフヒー、フヒー……と、うら哀しげな鳥の声。こんな日が続けば、たまの参詣も、はたと杜絶え、うっかりすると、日さえ忘れる。気まぐれの日記を前に、独り首をかしげたり、指を折ったり……
あおげらの挿図
カッ、カッ、カッ……突如、静寂を破って雪の窓外に、戸でも叩く物音。珍らしや、参詣者か、それとも持子衆か、とのぞいて見れば、人にはあらで、大きな啄木鳥! 頭から血を浴びたかと真赤で、青黒い翼にかすり縞。青げらか。向うの太い枯木に、むずと抱きついて、いかつい口ばしで、ちょうど釘でも打ち込む風に、しきりと幹を叩いている――折り重なって空山に響く、丁々の木だま。