Japanische Klassiker mit Furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme
もっとも、それが初めから問題にならなかったわけではなく、何かの理由から、それが誤り伝えられたものらしい。すなわち本山ではなくて小蓮華の方に出る、ささやかなもので、写真にも写されていた。それは子供がカンゼヨリをひねって作る、犬だか馬だかのようなか細いもので、到底山名の因となるほどの力はない、そう考えて私はどうにも納得が行かず、山友ともよく話しあったものだが、いつかその本物をつきとめてみたい、と思いつつ年月をすごした。
そこへいい機会がきた。二十八年の春、私は白馬連峯の春景を描くことを思い立ち、四月末から山麓の森上へ出かけた。まず神ノ田圃に泊って、天狗原、乗鞍あたりで筆を染め、森上に帰って、昔よく一緒に山を歩いた矢口森栄君の家に滞在、附近から白馬三山の春雪を描き始めた。仕事は果して長びく。これはいい機会だった。今度こそ「代馬」を解決しよう――そう考えてまず矢口君に調査を頼んだ。彼は四谷の役場に勤めていたし、一家は土着の農家だから、父君もわずらわして古老の問いあわせに便宜を得た。もちろん私も画作の余暇、散歩の折など、森上からは白馬本山は見えぬので、松川の辺まで足をのばし、あれかこれかと馬の姿をさがし求め、行きずりの通行人にまで声をかけてみた。