Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおとこのだらく
ある男の堕落
伊藤 野枝
Lesen Sie ある男の堕落 (あるおとこのだらく) von 伊藤 野枝 (いとうのえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.585 Zeichen · 27 Bildschirme
でも、時々は本当に腹が立ちますよ。癪に障るっていっても、あの人だって、ここに来てずいぶんいい気持そうな顔をしているんじゃありませんか。」
私は折々Yが、明るい湯殿の中で大きな声で流行歌などを歌いながらはいって、湯から上がると二階の縁側の籐椅子の上に寝ころんで、とろけそうな顔をして日向ぼっこをしている姿などを思い出しながらいいました。
「無邪気な、いい男なんだよ。だがあなたの気にするようなデリカシイはあの男には持ち合わせがないんだ。あなたのような人は、あんな男は、小説の中の人間でも見るようなつもりで、もっと距離をおいて見ているんだよ。そうすれば、あの男のいやな処だって、だんだんに許せるようになるよ。あの男は本当の野蛮人だからね。あいつが、山羊や茶ア公とフザケている時をごらん。一番面白そうだよ。すっかり仲間になり切っているからね。」
本当にそれは一番の愉快そうな時でした。彼は私の家の庭つづきの広い南向きの斜面の原っぱで、私共の大きな飼犬と山羊を相手にころがりまわりました。彼のがっしりした、私には寧ろ恐ろしい程な動物的な感じのする体が、真白な山羊の体と一緒に犬に追われながら、まるで子供の体のようにころがりまわるのです。