Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおとこのだらく

ある男の堕落

伊藤 野枝

Lesen Sie ある男の堕落 (あるおとこのだらく) von 伊藤 野枝 (いとうのえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.585 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

二

そうしては青い草の中にいっぱい陽をあびて、ゴロリと横になっては犬をからかっていました。

二

Oは私にYを小説の中の人物の気で見ていろといいました。私もややそれに似た気持ちで見てはいましたけれど、そしてまた、彼の無知からくる子供らしい率直さを、充分に知ることはできましたけれど、それにもかかわらず、彼の中に深く根ざされている、傍若無人に振舞っている間にも、必ず他人の心の底を覗こうとする一種の狡猾さと、他の好意につけ込む図々しさと執拗さとにはどうしても眼をつぶる訳にはゆきませんでした。

けれども、その時分、彼は非常な熱心さで運動をしていました。彼は同志の人の手を借りて小さなビラ代りの雑誌をつくりました。そして自分の家に南千住あたりの自由労働者を大勢ひっぱってきて、集合をしたり、演説会をしたりして、官憲の圧迫に反抗しながら勇敢に宣伝を続けておりました。

彼の頭はメキメキ進みました。自分の姓名さえも満足に書くことのできないYが、いつの間にか、むずかしい理屈を、複雑な言葉で自由に話すようになったのには、誰も彼も感心しました。私共も、彼の執拗な質問にはなやまされましたが、それでも、一度腹に入った理屈は立派に自分のものにコナしてしまう頭を彼は持っていたのです。