Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおとこのだらく

ある男の堕落

伊藤 野枝

Lesen Sie ある男の堕落 (あるおとこのだらく) von 伊藤 野枝 (いとうのえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.585 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

三

私共の力では到底及ばないそれ等の人々への宣伝に、Yの力が与っていたのはいうまでもありません。そのために彼は、Oはじめ多くの同志達に充分認められていました。みんなはかなりYを大事にしました。

それを見て取った時分から、Yの調子が少しずつ、変ってきたのが私には見えはじめました。彼の無遠慮にますます嫌な誇張が多くなってきました。彼はその頃にはもうわざとあかとあぶらで真黒な着物を着ては、ゴロゴロと畳の上に寝ころぶような真似をし出しました。「虱なんかを嫌がって、労働運動面もあるものか」と傲語しながら、ワザとかゆくもない体をボクボクかくというような誇張をはじめたのです。そして、その真面目な運動の話の方面にさえ大分誇張がまじってきました。

新しい興味の多い労働者への宣伝に夢中になっている人達には、もちろんそんなことはどうでもよく、気もつかないようでした。しかし、「小説の中の人物のように」彼を見ようとして、始終彼に気持の上の圧迫を受け続けていた私には、だんだんと、彼が、労働者の同志として、みんなに大事がられるその位置に、いい気になりだしてきたのが分りました。

三

Yを慢心させ、その後彼をもっと悪い堕落に陥し入れたもう一つの大きな原因になっているのは「警察が恐くない」