Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおとこのだらく
ある男の堕落
伊藤 野枝
Lesen Sie ある男の堕落 (あるおとこのだらく) von 伊藤 野枝 (いとうのえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.585 Zeichen · 27 Bildschirme
六
その間にOは捕えられたり放たれたりして、とうとう最後のコヂつけで未決にいましたが、一審が終わると同時に保釈で出ました。が、Yは一審の判決がすむとすぐ既決に下って中野の監獄に送られました。
彼はそこで六ヶ月の刑期を送りました。既決に降ってからは刑期中は仲間への消息は絶えました。彼は振りがなの本を読むことも許されず、手紙も書けませんでしたから。
六
彼が刑期を終えて出て来たのは、その次ぎの年の一月でした。私共はその前年Oが保釈で出ている間にはじめて第一次の「労働運動」を出していました。Oは十二月の末に入獄して留守でしたが、家には三四人の同志の人がいて雑誌を継続していたのです。出獄した彼は、他にゆく処もないので、しばらく置くことにしました。
さすがのYも青白い牢上りらしい顔色をして、大分痩せて帰ってきました。でもやはり元気よく珍らしかった牢屋の生活をしきりにみんなに聞かせるのでした。その前に私はすでに三人ばかりの出獄者を迎えましたが、獄中での生活は、一つ基準のもとにある規則的な生活であるのにもかかわらず、みんなの話がめいめいに、その人らしい特色を強く現わしていて面白いのでした。