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Japanische Klassiker mit Furigana

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かげろうのにっき

かげろうの日記

堀 辰雄

Lesen Sie かげろうの日記 (かげろうのにっき) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.890 Zeichen · 60 Bildschirme

Aozora Bunko

それだのに、あの方はまたあの方で、「おれの何処が気に入らないのだ」と云った顔つきをなすって、少しも悪びれずにいらっしゃるので、本当にどうしていいのやら、私は思いあぐねるばかりだった。何んとかしてこの胸に余る思いをつぶさにこの人にも分からせようがものはないかと思えば思うほど、私はあの方に向っては一ことも物を言うことが出来ずにしまうのだった。

「今のようにときどき思い出されたように入らっしゃるよりか、いっその事もうすっかりお絶えになって下すった方がどんなに好いか知れやしない」などとまで私はその日頃考え出していたものだった。又意地の悪い事にはそんな時にかぎってあの方がひょっくりお見えになったりする。「どうして私のところへなぞ入らしったのですか」と云った顔をしたぎり、私が何も言わずにいるものだから、あの方も何だかひどく工合悪そうにしていらっしゃる。まあ、折角こうしてお出になっていられるのだから、こうばかりしていてもと、つい弱気になろうとする自分を、私は一生懸命に抑えつけて、あの方がいかにも物足らなそうにお帰りになるがままにさせている。……

そんな事ばかり繰り返しているうちに、とうとう或日などはあの方もすっかり気を悪くされたと見え、つと端の方へ歩み出されてから、幼い道綱をお呼び出しになって何か耳打ちをなすっていらしった