Japanische Klassiker mit Furigana
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かげろうのにっき
かげろうの日記
堀 辰雄
Lesen Sie かげろうの日記 (かげろうのにっき) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.890 Zeichen · 60 Bildschirme
その七
ほんとうに方がお明けになってから入らっしゃると好かったのですのに」と諦め切ったように言った。あの方も、とうとう外にしようがなさそうに「例の面白くもない物忌になったか」とぶつぶつ言われながら、真夜中近くをお帰りになって往かれた。そういうあの方の後ろ姿は、私の心なしか、いつになくお辛そうにさえ見えた。
翌朝、すぐ御文をおよこしになった。その御文も「ゆうべは夜も更けていたのでひどくつらかったぞ。そちらはどうだったな。はやく精進明けをしなさい。大夫も大ぶ窶れていたようだから」と、いつもに似ずお心がこもっているようだった。こうやってまでして、山から下りたばかりの私をおいたわりになろうとなすって居られるあの方のお心ばえも、そんな生憎な物忌のために、しばらく私からお遠のきになって入らっしゃる間に、又昔のようにつれなくおなりになられそうな事ぐらいは、私にもよく分かっていた。しかし私には、それをそのままに任せて置くよりしかたがないのだった。
その七
そう云うあの方の御物忌のお果てなさる日を私は空しくお待ちしているうちに、やがて七月になったが、或日の昼頃に「やがて殿がお出になる筈です、此方におれとの仰せでした」