Japanische Klassiker mit Furigana
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かげろうのにっき
かげろうの日記
堀 辰雄
Lesen Sie かげろうの日記 (かげろうのにっき) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.890 Zeichen · 60 Bildschirme
その六
そうして私は、もし自分が本当に苦しむことを好んでいるのだったら、こんなに何もこわがりはしないだろうにと思いかえしながら、だんだん長いことそれを見つめ出していた。ときおりそんな自分の目のあたりを、その稲光りとともに、何処かの山路で怯えている道綱の蒼ざめ切った顔が一瞬間閃いて過ぎったりするのだった。……
が、そのうちに、私はそれにもめげずに、じっと空中に目を注いだなり、いつか知らず識らずの裡に自分自身をその稲光りがさっと浴びせるがままに任せ出していた。恰もそうやって我慢をしている事だけが自分のもう唯一の生き甲斐ででもあるかのように。……
その六
或日の昼頃、突然、大門の方で馬が気もちのいいくらい高く嘶いた。それがどういうわけか、私のうちに言うに言われないような人なつかしさを蘇らせた。……それからやがて人のおおぜい来たらしい気配がしだした。簾を透かして見ていると、立派な装束をした人々も数人見え、それが木の間をこちらへだんだん近づいて来るのだった。その中には関白殿の御子息の兵衛佐などもお見えになっている。先ず、道綱をお呼び出しになって「これまで大へん御無沙汰申していたお詑びかたがた、こうやって参りました」