Japanische Klassiker mit Furigana
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かげろうのにっき
かげろうの日記
堀 辰雄
Lesen Sie かげろうの日記 (かげろうのにっき) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.890 Zeichen · 60 Bildschirme
その三
それだのに、私は一生のうちにたった一度の死期をも失ってしまったような……」などとさえ悔やみ出していた。……
その三
そのうちに道綱も漸く成人して来た。が、その頃の事になると、まだついこの間の事のように何もかも自分に一どきに思い出されてしまうものだから、さてそれを書こうとすると、反って何だか書かずともよいような事までも書いてしまいそうな気がしてならない。……
先ず思い出すのは、これも書かずともよい事かも知れないが、まあ、思い出すがままに書いて見ると、或年の丁度若苗の生い立つ頃、――そう、若苗といえば、そんな事のあった数日前、私はあんまり所在がないので草などの手入れをさせていたら、たくさん若苗が生えていたので、それを取り集めて母屋の軒端にそっくり植えさせて水なども気をつけてやらせていたのだった。が、その日私が見に往ってみると、それはもう残らず色が変って葉なんぞもすっかり萎れかえってしまっていた。――この頃まるっきりあの方のお見えにならない私の家のものといったら、まあ、こんな軒端の苗までも私の真似をして物思いをする見たいだなどと、又してもそんな事を考え出していると、そこへあの方から珍らしく御文があった。