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Japanische Klassiker mit Furigana

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かげろうのにっき

かげろうの日記

堀 辰雄

Lesen Sie かげろうの日記 (かげろうのにっき) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.890 Zeichen · 60 Bildschirme

Aozora Bunko

「お前が早く成人して、安心の往けるような妻などに預けてしまえたら、どんなに好いだろうに。いま、わたしが死んだら、どんな思いをしてお前が一人でさすらう事だろうと思えば、ほんとうに死ぬのも死ににくい。まあ、形でもかえて、世を離れたらと思うのだけれど――」と私が独言でも言うように言っていると、まだ深くは何もわからぬらしいが、あの子も悲しそうに「そうおなりになったら、まろも法師になりとうございます。この世に交わって居りましても、何になるでしょう」と言いながら、目に涙を一ぱい溜めている。私はそれを見ると、やっと気を取りなおしながら、いまの話を常談にしてしまおうとして、「そうなって鷹も飼えなくなられたら、どうしますか」と言うと、道綱はいきなり立ち上って往って、自分の飼っていた鷹を籠から出して矢のように放してしまった。それを傍で見ていたもので泣き出さないものはなかった。

丁度その暮がたに、あの方から御文が来た。また天下の空言だろうと思えるので、気強く「只今は心もちが悪うございますので、いずれ後ほど――」とそのまま使いの者を返させた。そんな事もあった。

七月、――お盆が近いので何かと世間では騒ぎ出していた。