Japanische Klassiker mit Furigana
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かげろうのにっき
かげろうの日記
堀 辰雄
Lesen Sie かげろうの日記 (かげろうのにっき) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.890 Zeichen · 60 Bildschirme
もう寐てしまったのか」と意地悪そうにお笑いかけなすった。けれども、私はもう石のように押し黙ったぎり、そのまま夜を明かしてしまったので、翌朝あの方は物もお言いにならずにお帰りになられた。
それから二三日するかしないうちに、あの方は何事もなかったかのように、例の縫物などを持って来させて、「これを仕立ててくれ」などと言っておよこしになった。が、私はそれには手もつけずに、そっくりそのままそれを返えしてやった。
三月も末近くなってから、父が京に上って来られたので、私はあんまりこうして暮してばかり居ても息苦しくって溜らなかったし、それに忌も違えがてら、しばらく父の所へ往くことにした。そちらで、この間から思い立っていた長精進もはじめようかと思い、いろいろその支度をし出しているところへ、あの方から御文があった。相変らず「勘当は未だなのか。もう許してくれるなら、暮方にでも往きたいがどうだ」などとある。私がそのまま返事を出さずにいると、人々がそれではあんまりだと言ってうるさいので、「二た月もお見えにならなかったのに、不思議な御文ですこと」とだけ返事を書いてやった。少しでも早く静かに落着きたいと思うので、急いで父の家へ引き移って往った。