Japanische Klassiker mit Furigana
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かげろうのにっき
かげろうの日記
堀 辰雄
Lesen Sie かげろうの日記 (かげろうのにっき) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.890 Zeichen · 60 Bildschirme
その五
丁度その日はあの方の御物忌も明けるらしいので、気ぜわしい思いで、いろいろ支度を急がせていると、人々が上莚の下から何か見つけ出して「これは何でしょう」などと言い合っていた。ふと見ると、それはいつもあの方が朝ごとにお飲みなすっていた御薬が檀紙の中に挿まれたままになって出て来たのだった。私はそれを受け取って、その紙の上に「所詮生れ変らねばと思っては居りますけれど、何処ぞあなた様がわたくしの前を素通りなされるのを見ずにもすむような所がござりましょうかと存じまして、今日参ります。ああ、また問わず語りをいたしてしまいました」と書きつけ、その中に元のように御薬を入れて、道綱に「もし何か訊かれそうだったら、これだけ置いて早く帰っていらっしゃい」と言いつけて持たせてやった。
それを御覧になると、余程あの方もお慌てなされたと見え、「お前の言うのも尤もだが、まあ何処へ往くのだか知らせてくれ。とにかく話したいことがあるので、これからすぐ往くから――」と折返し書いておよこしになった。それが一層せき立てるように私を西山へと急がせた。
その五
山へ行く途中の路はとり立ててどうと云うこともなかったが、昔、屡ここへあの方とも御一しょに来たことのあるのを思い出して、「そう、四五日山寺に泊ったことのあったのも今頃じゃなかったかしら、あのとき