Japanische Klassiker mit Furigana
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かげろうのにっき
かげろうの日記
堀 辰雄
Lesen Sie かげろうの日記 (かげろうのにっき) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.890 Zeichen · 60 Bildschirme
と私に声をかけた。子供心にも私に物をあんまり深く思わせまいとするのだろう。しかしもう少しこうして居たいと思って、そのまま私がじっとしていると、再び道綱が「何だってそんな事をなすって入らっしゃるのですか。お体にだってお悪くはありませんか。それに、まろはもう睡くってたまりませんから」と言いかけるので、私はついそんな子供にまで、まるで自分自身に向って言いでもするように、「お前の事だけが気になって、こうして長らえているのだけれど――」と言い出した。「どうしたら好いのだろうね。尼にでもなったら一番好いのかしら。この世に居なくなってしまうよりか、そうでもして生きていたら、お前にしたってお母あ様の事が気にかかればすぐ会いにも来られるし、それでいてあとはもうこの世に居ないものだと諦めてもいられるでしょう。――そうやって尼になったって、お前のお父う様さえ本当に頼りになるのなら、お前の事は少しも心配は入らないのに、それがどうにももどかしいような気がするので、こうやって物思いばかりしているのだけれど……」と、ひとりごとのように言い続けているうちに、ふとこんな言葉が、かわいそうに、此の子をどんなに苦しめているのだろうと気がついて、私は突然言うのを止めた。