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Japanische Klassiker mit Furigana

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かげろうのにっき

かげろうの日記

堀 辰雄

Lesen Sie かげろうの日記 (かげろうのにっき) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.890 Zeichen · 60 Bildschirme

Aozora Bunko

このまま殿がお絶えなされるなんという事があるものですか。どうしてそう御ひがみなされるのか、私共にはわかりませぬ。殿もこちらへ参ったらようく言って聞かせてやって呉れなどと仰せられていました」と私を慰めるように言われる。「何もあなた様にまでそう云う御心配をしていただかなくとも、いずれそのうち此処からは出るつもりなのですけれど――」と私がいつになくつい気弱な返事をすると、「それなら同じ事ですから、今日お出になりませんか。私共もこのまま御供いたしましょう。何よりもまあ、この大夫がときどき京へ出られては、日さえ傾けばまた山へお帰りを急がれるのを、はたで見ていましても本当にお気の毒なようで――」などと道綱の事まで持ち出して切に口説かれるけれど、私はもう何か他の事でもじっと思いつめ出したように、返事もろくろくしないようになった。そのうちに兵衛佐もとうとうお諦めになったように、しばらくまた他の物語などし出されていたが、それももう途絶えがちで、夕方になると、お帰りになって往かれた。

そういう兵衛佐などにお目にかかるにつけ、ふいと京恋しさを溜らないほど覚えたが、それをやっと抑えつけながら、ただお懐しそうに昔物語をし合っただけで、つれなく京へお帰ししてからと云うもの、私が何とはなしに気の遠くなるような思いで数日を過ごしていた