Japanische Klassiker mit Furigana
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かげろうのにっき
かげろうの日記
堀 辰雄
Lesen Sie かげろうの日記 (かげろうのにっき) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.890 Zeichen · 60 Bildschirme
せめてもの事、「急に差し障りが出来たので往かれなくなってしまった。若しか都合がついたらすぐ往こうと思っていたので、車の用意もそのままにさせて置いたのだが――」なんぞとでも言って下されば、まだしも私の気もちも好いものを。
矢っ張自分の思ったとおり、少しはお心が変られるのかなと考えたのはあの時の私の考え過しで、あの方は相変らず以前のあの方だけだったのらしい。そうして私だけが――そう、私は少くとも、あの山から帰って来てからは、もう昔のような私ではなくなりかけているのだ。……
その日もまた、私がそんな考えをとつおいつし出していたところへ、西の京にお住いになって居られるあの方の御妹から御文があった。見れば、まだ私があれからずっと山に籠っているものとばかりお思いになっていらしって、何くれと物哀れげに仰ゃって「どうしていつまでもまあそんなお淋しいお住いをなすって入らっしゃるのでしょう。そのようなお住いをも一向苦になさらずにお訪ねいたすお方だっておありでしょうに、つれないあの人はこの頃あなた様からもお離れがちだとか。本当にどうして入らっしゃるかと大へん気になって居りますので、ちょっと――」