Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かげろうのにっき

かげろうの日記

堀 辰雄

Lesen Sie かげろうの日記 (かげろうのにっき) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.890 Zeichen · 60 Bildschirme

Aozora Bunko

そんな自分を自分でもずいぶん昔とは変ったなと思っていたが、流石にあの方にもそう云った今の私がまるで別人のようにお見えになるらしく、それが何時も屈託なさそうにして入らっしゃるあの方までを、いくらか不安におさせしているらしかった。しかし、明け方になると、それをただその事の所為にでもなさるかのように、「勝手の分からぬ所に参っている者共はどうしているだろうな」と仰ゃりながら、何か気がかりなように、お帰りになって往かれた。

それからまた数日の後だった。今度伊勢守になられた私の父は、また近いうちに任国へお下りにならなければならなかった。それでしばらくでも御一緒に暮らしたいと思って、あの方にはお知らせもせずに、私は父と共に或物静かな家に移った。そんなにまでしたのに、それから二三日した或午頃、急に南面の方が物騒がしくなった。「誰だろう、向うの格子を開けたのは」と私の父までも驚いて、皆と一しょに立ち騒いでいると、そこへ突然あの方がおはいりになって入らしった。そうしていきなり私の前に立ちはだかって、いくらか色さえお変えになりながら、傍らにあった香や数珠を投げ散らかされ出した。