Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こころ

こころ

夏目 漱石

Lesen Sie こころ von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.915 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

二十六

今まで書物で城壁をきずいてその中に立て籠っていたようなKの心が、段々打ち解けて来るのを見ているのは、私に取って何よりも愉快でした。私は最初からそうした目的で事をやり出したのですから、自分の成功に伴う喜悦を感ぜずにはいられなかったのです。私は本人にいわない代りに、奥さんとお嬢さんに自分の思った通りを話しました。二人も満足の様子でした。

二十六

「Kと私は同じ科におりながら、専攻の学問が違っていましたから、自然出る時や帰る時に遅速がありました。私の方が早ければ、ただ彼の空室を通り抜けるだけですが、遅いと簡単な挨拶をして自分の部屋へはいるのを例にしていました。Kはいつもの眼を書物からはなして、襖を開ける私をちょっと見ます。そうしてきっと今帰ったのかといいます。私は何も答えないで点頭く事もありますし、あるいはただ「うん」と答えて行き過ぎる場合もあります。

ある日私は神田に用があって、帰りがいつもよりずっと後れました。私は急ぎ足に門前まで来て、格子をがらりと開けました。それと同時に、私はお嬢さんの声を聞いたのです。声は慥かにKの室から出たと思いました。玄関から真直に行けば、茶の間、お嬢さんの部屋と二つ続いていて、それを左へ折れると、Kの室、私の室、という間取なのですから、どこで誰の声がしたくらいは、久しく厄介になっ