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Japanische Klassiker mit Furigana

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こころ

こころ

夏目 漱石

Lesen Sie こころ von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.915 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

その時分の私は妻に対して己れを飾る気はまるでなかったのです。もし私が亡友に対すると同じような善良な心で、妻の前に懺悔の言葉を並べたなら、妻は嬉し涙をこぼしても私の罪を許してくれたに違いないのです。それをあえてしない私に利害の打算があるはずはありません。私はただ妻の記憶に暗黒な一点を印するに忍びなかったから打ち明けなかったのです。純白なものに一雫の印気でも容赦なく振り掛けるのは、私にとって大変な苦痛だったのだと解釈して下さい。

一年経ってもKを忘れる事のできなかった私の心は常に不安でした。私はこの不安を駆逐するために書物に溺れようと力めました。私は猛烈な勢をもって勉強し始めたのです。そうしてその結果を世の中に公にする日の来るのを待ちました。けれども無理に目的を拵えて、無理にその目的の達せられる日を待つのは嘘ですから不愉快です。私はどうしても書物のなかに心を埋めていられなくなりました。私はまた腕組みをして世の中を眺めだしたのです。

妻はそれを今日に困らないから心に弛みが出るのだと観察していたようでした。妻の家にも親子二人ぐらいは坐っていてどうかこうか暮して行ける財産がある上に、私も職業を求めないで差支えのない境遇にいたのですから、そう思われるのももっともです。