Japanische Klassiker mit Furigana
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しじみがし
しじみ河岸
山本 周五郎
Lesen Sie しじみ河岸 (しじみがし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.438 Zeichen · 51 Bildschirme
五
――彼はやや暫く、茫然とその水面を眺めていたが、ふと、うしろに人のけはいがしたように思い、振返ろうとするとたん、うしろからだっと、猛烈な躰当りをくらった。
五
躰当りをくった瞬間、律之助の頭のなかでいつかの悪たれ共の言葉が、閃光のはしるように閃いた。
躰を躱す暇はなかった。反射的に振った右手で、偶然なにかを掴んだ。それは相手の着物の衿で、がっしと掴んだまま、堀の中へ落ちこんだ。相手もいっしょだった、相手は掴まれた衿を振放そうとしたが、躰当りをした勢いがついていたのと、律之助の引く力とで、とんぼ返りを打ちながら、いっしょに落ちこんだ。
殆んど同躰に落ちて沈んだが、律之助は水の中で相手をひき寄せ、両足で相手の胴を緊め、もっと底の方へ沈めた。相手はけんめいに暴れた。二人はいちど浮きあがったが、そのとき彼は相手の横面を殴り、また水の中へ引き込んだ。
「助けてくれ」相手が悲鳴をあげた、「おら泳げねえ、死んじまう」
そして「がぶっ」と水を噛み、気違いのように暴れた。律之助はそれを強引に押し沈め、水の中で押えつけ、息をつきに浮いて、また押し沈めた。相手が暴れるので、彼もちょっと水を飲んだ。