Japanische Klassiker mit Furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme
全国の狸界に、君臨しても文句を挾まぬ日が必ずくるであろう。
もし、看破られて、天秤棒で追いまわされたところで、尻っ尾を巻いて故郷の水沢観音の床の下へ逃げ込めば、それでよろしい。大して損はない。
二、三日過ぎた宵の口、仙公は低い声で詩を吟じながら墻のあたりをぶらついていると、それを聞きつけて、小みどりは庭へ走り出てきた。
やあやあ、お隣のお嬢さんですか。
あら、お嬢さんなんて、はずかしいわ。
仙公は、小みどりをわが室へ招じ入れたのである。小みどりは、まだおぼこであるとはいえ宴席へ侍るのがしょうばいであるから世の生娘とは違って、大して人怖じはしない。招じられるがままに仙公の室に通ったのである。
貴嬢の詩は、大したものですなあ、女であれだけ詠めちゃあ凄い。
あら、お恥ずかしい、あなたこそ――。あたし、すっかり魅せられてしまいましたわ。
こんな次第で、二人はそれから懇ろに交際するようになったのである。ある日、小みどりは仙公を、訪ねてきて改めてまじめな顔になり、
あなたは、奥さんはおありなんですか。
と、だしぬけに質問を発したのである。
じょうだんじゃありません。