Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あわもりものがたり

『たぬき汁』以後

佐藤 垢石

Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme

Aozora Bunko

私の知っているところでは、二、三の魚が※(「目+険のつくり」、第4水準2-82-3)を閉じる。

日本のどこでもの海岸の浅い砂浜や叢に棲んでいる飛沙魚と、九州有明湾や豊前豊後の海岸にいる睦五郎と、誰にもおなじみの鰒である。

東京近くでは、千葉県の西端の浦安海岸に飛沙魚はいくらでもいる。退潮時に浜を覗くと干潟の泥のなかに群れをなして遊んでいるが、人間が近づくと、ぴょんぴょん跳ねながら逃げだす。そして、葭や葦などに這い上がり、ちょいと人間の方を振り向き、胸鰭をあげて額に翳し、※(「目+険のつくり」、第4水準2-82-3)をぱちぱちさせる顔は、ひどく愛嬌たっぷり。

鰒は、食べては魔味に類するけれど、釣りに邪魔物である。あの、鋭い一枚歯で太い天狗素など手もなく噛み切ってしまう。それでも、時々は釣れる。私は、たびたび房州鋸山の下の竹岡沖へ鯛釣りにでかけるが、そのとき一貫五、六百匁もある大きな名古屋鰒を釣りあげると、船頭が「こいつ奴っ」と掛け声をかけながら、出刃庖丁の峯で彼の頭を叩くと、鰒は※(「目+険のつくり」、第4水準2-82-3)をぱちぱちさせて、まばたきをする。