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Japanische Klassiker mit Furigana

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つゆのあとさき

つゆのあとさき

永井 荷風

Lesen Sie つゆのあとさき von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.725 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

」と君江は例の如く新しい男に対する興味を押える事ができないので、既に帰仕度をしかけた木村の膝によりかかってその手を握った。

暫くしてから君江は木村の帰る自動車を頼もうと、女中を呼びに廊下へ出て、時間をきくと今方二時を打った。そして清岡さんというお客様はまだお見えにもならず、また電話もかからないと言う。自動車が来たので舞踊家の木村先生はお帰りになる。小説家の清岡先生はそれなり二時半を過ぎてもお出でにならない。君江はカッフェーの仕舞際に瑠璃子という女給に市ヶ谷へ立寄って伝言をするように頼んだのである。瑠璃子はもと洋髪屋の梳手をしている時分から方々の待合へも出入をしていたので、こういう事には抜目のあろうはずがない。事によると、清岡先生は瑠璃子の伝言を聞かない先に怒って早く帰ってしまったのかも知れない。そう思うと君江は木村を帰すのではなかったものをと、いよいよ残り惜しくてたまらなくなって来た。帯の間に入れた名刺を見ると、その住処、昭和アパートメントの電話番号が記してあるので、前後の考もなく電話をかけて見ようと裏梯子を降りかけた時、表口の方で誰かお客の来たらしい物音がした。