Japanische Klassiker mit Furigana
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
Lesen Sie つゆのあとさき von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.725 Zeichen · 148 Bildschirme
二
その中ゆっくり会って話しましょうよ。何なら、ちょっとお寄んなさいな。ドンフワンでも募集しているから紹介してもいいわ。」
「あすこは今幾人いて。」
「六十人で、三十人ずつ二組になっているのよ。掃除はテーブルも何も彼も男の人がするから、それだけ他よりも楽だわ。」
「一日に幾番くらい持てるの。」
「そうねえ。この頃じゃ三ツ持てればいい方だわ。」
「それで、綺羅を張ったら、かつかつねえ。自動車だって一度乗ると、つい毎晩になってしまうし……。」
君江はこまこました世智辛いはなしが出ると、他人の事でもすぐに面倒でたまらなくなる。それにまた、金なんぞはだまっていても無理やりに男の方から置いて行くものと思っているので、人込の中に隔てられたまま松子の方には見向きもせず、日の光に照付けられた三越の建物を眩しそうに見上げながら、すたすた四辻を向側へと横ぎってしまったが、少しは気の毒にもなって、後を振返って見ると、松子は以前の処に立止ったまま、挨拶のしるしに遠くからちょっと腰をかがめ、それでもう安心したという風で、これも忽ち人通りの中に姿を没した。
二
松屋呉服店から二、三軒京橋の方へ寄ったところに、表附は四間間口の中央に弧形の広い出入口を設け、その周囲にDONJUANという西洋文字を裸体の女が相寄って捧げている漆喰細工。