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Japanische Klassiker mit Furigana

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つゆのあとさき

つゆのあとさき

永井 荷風

Lesen Sie つゆのあとさき von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.725 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

短夜の明けぎわにざっと一降り降って来た雨の音を夢うつつの中に聞きながら、君江は暫くうとうとしたかと思うと、忽ち窓の下の横町から、急に暑くなったわねえという甲高な女の声と小走りにかけて行く下駄の音に目をさました。軒に雀の囀る声。やや遠く稽古三味線の音。表の方でばたばた掃除をする戸障子の音と共に、隣の屋根に洗濯物でも干しに上るらしい人の跫音がする。雨はすっかり晴れて日が照り輝いていると思うと、昨夜のままに電燈のついている閉切った座敷の中の蒸暑さが一際胸苦しく、我ながら寐臭い匂いに頭が痛くなるようなので、君江は夜具の上から這い出して窓の雨戸を明けようとした。矢田は既に昨夜の中わけもなく機嫌を直していた後なので、

「お止しよ。僕があける。実際暑くなったなア。」

「こら。こんなよ。触って御覧なさい。」と君江は細い赤襟をつけた晒木綿の肌襦袢をぬぎ、窓の敷居に掛けて風にさらすため、四ツ匐いになって腕を伸す。矢田はその形を眺めて、

「木村舞踊団なんかよりよほど濃艶だ。」

「何が濃艶なの。」

「君江さんの肉体美のことさ。」

君江は知らぬが仏とはよく言ったものだと笑いたくなるのをじっと耐えて、「矢さん。