Japanische Klassiker mit Furigana
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
Lesen Sie つゆのあとさき von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.725 Zeichen · 148 Bildschirme
身丈がすらりとして、身なりは芸者衆よりいい位だから、銀座でもきっと一流のカッフェーでしょうよ。いつでも来るのは朝早いのよ。九時前の時もあるわ。それから正午になるかならない中お立ちだわ。こっちは九時や十時じゃやっと眼がさめた時分でしょう。それに今のところ抱はいないし家の内はしんとしているから、つい耳をすまして聞く気になるのよ。」
清岡はだまって若い方の芸者に酌をさせている。記者は二人ともいかにも面白そうに、「うむ、それから、それから。」とあおり立てるので年増も興にまかせて、
「相手のお客様は時々ちがうらしいのよ。だけれど、いつでも君さん君さんというから、きっと君子さんとか君代さんとかいうんでしょうよ。実にすごいものよ。いつだったか感心しちまった事があるわ。」
清岡は上目づかいにじろりと記者の顔を見た。駒田も年を取っているだけ、すぐに気がつき、芸者のはなしがドンフワンの君江の事でなければいいがと心配したらしく、それとなく記者の方を見たが、記者は二人とも案外銀座のカッフェーの事には明くないと見え、別に心当りもない様子で、「感心したというのは一体どういう事なんだ。