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Japanische Klassiker mit Furigana

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つゆのあとさき

つゆのあとさき

永井 荷風

Lesen Sie つゆのあとさき von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.725 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

折好くテーブルには一人も女給がいないので、君江はぴったり寄添い、

「今夜、わたしこまってしまったのよ。こんな都合のわるい事は始めてだわ。」

その語調と様子とで、松崎は忽ち万事を洞察したらしく、「おれはもうすぐ帰るつもりだよ。今夜は唯カッフェーの景気を見物に来たばかりさ。逢うのはその中ゆっくり昼間にしよう。」

「すまないわねえ。あなた、怒らないで頂戴。よくって。」

「おこるものか。おれにはもう分っている。お客がかち合っているんだろう。」

「さすがに小父さんだけあるわねえ。どうして分るんだろう。」と君江は松崎の耳に口を寄せて今夜の始末を包まずに打明け、「何かうまい工夫はないか知ら。」

「いくらでもあるさ。わけはない。」と松崎はすぐに一策を授けた。それは先カッフェーの帰り大急行で一人のお客を待合へ連れて行き、どうしても泊るわけには行かないからと、暫くしてから、男が帰り仕度をしない中、お先へ失礼と言ってあわてて帰る振りで、別の座敷へ姿をかくす。その前に極く懇意な友達の女給に頼んで市ヶ谷の家へ寄ってもらい、間貸しのおばさんに、或お客様が自動車で送ってやるからと言うので、何の気もなく一緒に乗ったところ、無理やりに待合へ連れて行かれた。